人事の仕事をしているとタレントマネジメントという言葉をよく聞きますよね。
会社や人によってもタレントマネジメントが意図するものは異なり、統一した定義が難しいものと言えるでしょう。
タレントマネジメントシステムのベンダーはたくさん存在しますが、システム導入はツールであり目的ではありません。
ここでは東証一部上場企業で人事を9年経験し、SuccessFactorsとSAPの導入プロジェクトに両社が統合する前から深く携わっていた筆者が、タレントマネジメントについてわかりやすく解説いたします。
ぜひ参考にしてみてください。
タレントマネジメントとは?

タレントマネジメントとは、社員のタレント(スキル、能力、資質)を可視化し、採用、育成、配置、異動、昇格などと紐づけることで、人事が経営に貢献する一連の体制を指します。
全従業員の基本情報を管理する人事管理と比べて、従業員のスキルや能力などのタレントに絞ること、またそもそも全従業員は対象とせず、タレントのある人材のみに限定して可視化と管理していくこともあります。
それぞれの人事業務が孤立するのではなく、経営戦略とそれに基づく人事戦略に沿う形で、人事業務が連携して価値を生み出すための仕組みと言えるでしょう。
タレントマネジメントの全体像は企業ごとに異なる
タレントマネジメントという言葉はどの企業でも使われるようになってきましたが、タレントマネジメントが指すものや、全体像は企業ごとに異なります。
タレントとはどのようなスキルや資質とするのか、対象は全従業員か幹部候補に絞るかなど、自社にとって効果のあるタレントマネジメントは何かを明確にするところから始まります。
タレントマネジメントはシステム導入とセットにはなりますが、パッケージをそのまま導入するのではなく、先ずは自社内で全体像を設定することが重要と言えるでしょう。
人事システムとの違い
タレントマネジメントシステムとよく混同されるものに人事システムがあります。
企業によっては一括りにしがちですが、一般的に人事システムとは勤怠や給与などの労務や、採用までを含めた基幹システムとなります。
一方でタレントマネジメントシステムはタレントマネジメントに特化したシステムのことで、タレントである人材のレベルやスキル、資格やプロジェクト経験を管理することを目的としていますよね。
人事システムは企業の人事業務を遂行するシステムで、タレントマネジメントは人材に特化したシステムとして、管理する項目が異なると言えます。
タレントマネジメントの課題と導入ポイント
タレントマネジメントの課題として、本当に管理すべき人材や人事情報は何かを明確にしないと、無意味なシステムと管理に膨大なコストをかけてしまうことになります。
少なくない企業で、タレントマネジメントシステムは相当なお金をかけて導入したけれど、工数ばかりかかって効果が分からないとなってしまう原因ですよね。
タレントマネジメントを意味のあるものにするためには、人事部だけで作るのではなく、経営層や事業部の現場とコミュニケーションを取り、本当に核となるタレントや人材像を定める必要があります。
現場から離れている人事が机上だけで設定すると、意味がないどころか現場は混乱し、余計な工数ばかりかかる恐れすらあるでしょう。
直感的なインターフェースやレポート作成機能が重要
主にタレントマネジメントシステムを使いこなすのは人事部員となりますよね。
人事はシステム導入やデータ分析を専門としている人材ではないため、せっかく重厚な人事システムを時間とお金をかけて構築したとしても、上手く使いこなせないことが少なくありません。
実際にシステムを使うのは現場の人事ですので、トップ層からこのような分析をしろと言われても、人事データベースをどう使えばよいのか分からない課題も多いでしょう。
そのため直感的に使えるインターフェースの重要性は増していますし、データ分析を1クリックでできるようなレポート作成機能も人気となっています。
タレントマネジメントシステムの目的は構築ではなく、使いこなす点であることは必ず覚えておいてください。
タレントマネジメントシステムの歴史
タレントマネジメントシステムは人事の王道として昔から存在していたと言うより、2010年代に普及してきました。
元々人事システムについては、2000年代から人事労務領域のシステム化が始まり、当初は勤怠管理などが主な人事システムの役割でした。
そこからシステム化される人事機能が増えていくことで、2010年代ではタレントマネジメントが主要となり、社内リソースの見える化と最適化がテーマとなった背景があります。
2020年代に入ってからはタレントマネジメントシステムを提供する企業が上場するなど、従来の人事システムからさらに発展を遂げ、HRテックとして人材育成や採用、社員のエンゲージメント向上、人的リソースの効率化や高度化など、人事が経営に貢献できる領域が増えてきていると言えるでしょう。
総合人事システムがトレンド
人事システムにおいてはSAP SuccessFactors、タレントマネジメントシステムにおいてはコーナーストーンなど、業界をリードしている企業はまだまだ海外となります。
トレンドとしては、人事システム、採用システム、タレントマネジメントシステムといった個別の機能ごとではなく、1つのシステムに統合していくことでよりシームレスなユーザーエクスペリエンスを追求していると言えるでしょう。
SAPが経費処理の大手であるConcurを統合したことなどからも、タレントマネジメントシステム単体ではなく、他の人事機能とも連携していく全体像がより重要になっていくと考えられます。
タレントマネジメントとハイポテンシャル人材
人事領域、特にタレントマネジメントにおいて、ハイポテンシャル人材という言葉を使いますよね。
ハイポとも呼ばれますが、タレントマネジメントの目的の1つにこのハイポテンシャル人材を発掘して育成することが挙げられます。
ここではタレントマネジメントとハイポテンシャル人材についてお伝えします。
主目的の1つがハイポテンシャル人材の発掘と育成
先ずはハイポテンシャル人材の定義ですが、名前の通り高い潜在能力を持った人材となります。
ハイポテンシャル人材について具体的な設定は各社で異なりますが、あくまでポテンシャルですので、すでに事業部長など主要なポストについているリーダーは指しません。
一方であまりに若い人材では、その企業と事業にとってのハイポテンシャルかは見極められないため、一定の年数と経験を積んだ人材を意味することが一般的でしょう。
ハイポテンシャル人材のプールを行う
タレントマネジメントシステムと通常の人事システムとの大きな違いは、タレントマネジメントシステムはこのハイポテンシャル人材にフラグを立てて、特別な育成施策を打てることがあります。
ハイポテンシャル人材をプールするためのシステムとも言えるでしょう。
社員には全員同じだけの環境とチャンスを与えて、報酬まで差を付けないといったような企業もあるかもしれませんが、タレントマネジメントの考え方とは真逆となりますよね。
次世代のリーダーを早い段階から見つけて、特別な業務経験を積ませていく取り組みこそ、タレントマネジメントの真の目的となり得ます。
タレントマネジメントと「公平と公正」
人事経験者ならば知らない人はいないであろう、「公平と公正」というテーマがありますよね。
会社において平等を取り入れた場合、社員の能力や成果に関わらず報酬などを同じにすることを指します。
そのような企業が話題になることもありますが、明らかに少数派であり、短期では話題になっても長期では機能しないことは様々なグローバルリーディングカンパニーが証明していると言えるでしょう。
一方で会社における公平とは、能力などを踏まえた上で同じように扱うことを意図し、タレントマネジメントは公平を実施するための仕組みと考えることもできます。
そして会社における公正とは、この公平が本当に正しく機能しているのかを判断する基準となりますので、タレントマネジメントと人事施策は「公平と公正」と関係が強いと言えます。
タレントマネジメントはシステム導入で終わりではない
タレントマネジメントは導入しやすくなっています。
タレントマネジメントシステムのベンダーは増えており、パッケージ導入も容易になってきました。
ただし注意点としては、タレントマネジメントとは経営に貢献するための人事業務の全体設計であるため、システム導入はそのツールに過ぎませんよね。
タレントマネジメントシステムを導入する前の明確化、かつ導入後の運用こそ人事の仕事と言えるでしょう。
タレントマネジメントシステムを提供する企業が増加中
タレントマネジメントシステムを提供する企業が非常に増えています。
タレントマネジメントの重要性が増し、システムの発展によってより導入しやすい環境が整ってきたと言えるでしょう。
タレントマネジメントシステムやHRテックの新興企業は2020年から倍増
タレントマネジメントシステムやHRテックとして上場を果たして企業もありますし、市場全体が拡大していますよね。
実際に、HRテックの新興企業には世界中で資金が集まっており、2020年と比べても倍以上になっているといったデータもあります。
どのタレントマネジメントシステムを導入すべきか迷った際は、複数のベンダーを比較して、自社に適したシステムを選ぶことが重要となるでしょう。
(関連記事)HRテックとは?大手人事9年の人事システム担当者がわかりやすく解説
タレントマネジメントシステムでおすすめの機能
タレントマネジメントシステムは国内外で何十と種類があります。
大きな目的としては同じでも、実際の機能や使い方、インターフェースも当然ながら異なりますよね。
自社が本当にやりたいタレントマネジメントが、システムによってはできないこともあるでしょう。
ここでは人事歴9年の筆者が、タレントマネジメントシステムでおすすめの機能を紹介します。
- 直感的に使えるインターフェース
- わかりやすいレポート作成機能
- 顔が見える組織図
- カスタマイズのしやすさ(ただしカスタマイズはおすすめしない)
- 目標管理機能
参考にしてみてください。
1.直感的に使えるインターフェース
タレントマネジメントシステムは直感的に使えることが重要です。
人事担当者の多くがシステム導入や運用に強いとは言えませんよね。
せっかく様々な機能が備わっているシステムを時間とお金をかけて導入しても、使い方がわからないことや、慣れるまでに時間がかかってしまうと、そのまま十分に使われないリスクすらあります。
マニュアルを読まない担当者も少なくないのが現実ですから、直感的に使えるインターフェースというのは、実は実用面で非常に大事なポイントとなるのです。
2.わかりやすいレポート作成機能
人事データを基にしたレポート作成機能も必須と言えます。
どのような人材がいるのか、構成比率や配属場所はどこかなど、人事データは企業活動にとって間違いなく貴重ですよね。
それでも多くの企業では活用し切れていないのが現状です。
その理由の1つに、データ分析とデータ活用には専門知識が必要となるため、通常の人事部員ではデータベースにアクセスできたとしても何をしてよいのか分からないのが大半でしょう。
そのためボタン1つでレポートを作成できる機能はとても有効です。
ポテンシャルの高い人材がどこに埋もれているのか、離職率の傾向はどうか、英語力が高い人材を横断的に見つけ出すなど、レポートの種類と質がタレントマネジメントシステムで問われています。
3.顔が見える組織図
最近のトレンドとして顔が見える組織図が人気です。
名前のリストが無機質に並ぶだけではなく、顔写真が紐づいた組織図から全体を見て、そこから詳細を調べていけるタレントマネジメントシステムが流行っていますよね。
これは直感的に人事データを理解して使っていくために有効だと言えます。
筆者もSuccessFactorsのタレントマネジメントシステムが、バージョンアップによって顔写真の組織図に変更になった時は、一気に使いやすさが上がったことを覚えています。
システムを使いこなせないことが、タレントマネジメントシステムの効果が十分に発揮されない大きな理由となっていますので、このような機能は重要だと言えるでしょう。
4.カスタマイズのしやすさ
システム導入に伴い必ず確認されるのがカスタマイズですよね。
特にすでに自社システムで決まったワークフローが存在し、そのワークフローを新システムに移行する場合、「今まで通りのやり方がよい」といった意見に合わせてカスタマイズが発生しがちです。
カスタマイズはしやすいのか、その度に料金が発生するようなことはないかなどについて、タレントマネジメントシステム導入の際には確認する必要があるでしょう。
ただしカスタマイズ前提はおすすめしない
しかしカスタマイズのしやすさに関わらず、できる限りカスタマイズしないことが重要とも言えます。
システム操作が苦手な人たちは、少しでも仕様が変わることを恐れ、慣れるまでシステムに不満を持つ傾向がありますよね。
その人たちに合わせて今までのやり方をそのまま移行できるよう、無理やりカスタマイズせざるを得ない例をいくつも見てきました。
ほとんどの場合、余計なプロセスを削ることで作業が減るため、カスタマイズなしで使う方がはるかにメリットは大きいのですが、何もかもカスタマイズしてはせっかくの新システムが台無しになる恐れすらあるでしょう。
特に上の人ほどシステムが苦手で、システムが悪いとなってしまう事態があります。
カスタマイズの簡単さは必ずチェックですが、だからと言ってカスタマイズ前提はおすすめしません。
5.目標管理機能
目標管理機能はタレントマネジメントシステムにおいて核となります。
目標設定方法は個社によって異なりますが、半年ごとや1年ごとに、どのような業務目標を置くか上司と部下で話し合い、実際にどれくらい達成できたかをすり合わせていきます。
目標の達成率が高ければ給与や賞与に反映される仕組みは、従業員のモチベーションにとって必須と言えるでしょう。
評価制度と報酬制度のリンクは必須

ポイントとしては、タレントマネジメントを超える話ですが評価制度と報酬制度がリンクされていなければなりません。
高い目標を置いて、頑張って何とか達成したとしても、それが何にも反映されないのならば社員のモチベーションは上がるわけがないですよね。
システムで見える化できる前は、何となく優秀な人に仕事が集中しながらも、評価は上司がブラックボックスで付けるといった実情で、優秀な人の離職率が高くなっていた会社も少なくありません。

タレントマネジメントシステムによって、誰がどのような業務を行い、目標達成率はどれくらいかを可視化して、本当に貢献している社員に還元をしていく仕組みを整えることができれば、組織の活性化や優秀人材の離職防止につながると言えます。
タレントマネジメントシステムのベンダーやソフトウェアの選び方
タレントマネジメントシステムは何十種類と存在しています。
ソフトウェアとベンダーが同じ場合もあれば、ソフトウェアとIT企業の組み合わせで業務委託をする場合もありますよね。
総額で1億円を超えることは多々あり、大企業やグローバル共通システムを移行する大型プロジェクトでは10億円を超えることもあります。
相当な時間とコスト、人員を費やすIT投資となるため、絶対に失敗はできません。
ここではタレントマネジメントシステムのベンダーやソフトウェアの選び方について、グローバルプロジェクトを長年経験してきた筆者がお伝えします。
- 料金体系を理解する
- ビジネスケースを算出する
- 複数のシステムを比較検討する
- 自社が求める機能を突き詰める(最重要)
ぜひ参考にしてみてください。
1.料金体系を理解する
最初に料金体系は必ず理解しましょう。
必要なコストはソフトウェアのライセンス料だけでは全くありません。
導入コストから運用コスト、モジュールごとに料金がかかる場合も多いです。
大量のライセンスを購入することで1人あたりが安くなるボリュームディスカウントもありますが、不要な分まで買ってしまうと月々のコストが重くなるだけですし、それ以外のコンサルフィーなどが高額な仕組みも少なくありません。
人事部員はITや契約に強くないことも多いため、言葉巧みに契約させられてからでは遅く、システム部門と連携することも必須と言えます。
契約については最悪訴訟にまで発展するのがIT投資であり、当然ながら担当した人事部員や責任者のキャリアにも響きます。
タレントマネジメントシステムのベンダーやソフトウェアを選ぶ際は、間違いなく料金体系は熟知する必要があるでしょう。
2.ビジネスケースを算出する
それぞれのタレントマネジメントシステムは必ず「人事業務〇割削減」などの売りを持っています。
もちろん人事業務が減ることやコストカットはIT投資のメリットですが、具体的にどの機能によってどの業務が効率化できるのか、それは自社にとっても適応できるかは必ず確認しましょう。
一般的なワークフローと比較して簡素化できるといったロジックが多く、本当に自社に当てはまるかは全く別の話ですよね。
またタレントマネジメントシステムは何千万円や何億円といったIT投資となります。
人事システムと言っても投資費用をどのように回収するのか、ビジネスケースは必須となるでしょう。
システム導入によって定量的、定性的にどのようなメリットがあるのかを突き詰めなくては、システム導入したものの余計な仕事が増えただけといったケースすら発生します。
予算の確保と同時にビジネスケースの算出が重要であり、人事部員の苦手分野のためコンサルの言いなりにならないことが注意点と言えます。
3.複数のシステムを比較検討する
タレントマネジメントシステムに限った話ではありませんが、複数のベンダーやソフトウェアから見積もりを取り、比較した上で決める必要があります。
タレントマネジメントシステムは大企業向けから中小企業向けと幅がありますし、従業員数や業種業態、企業ごとの目的に合わせて適した機能も異なりますよね。
グローバルに展開しているサービス業に適したシステムと、国内の不動産会社に適したシステムが全く異なるように、個社ごとに求める性能は違います。
要件定義を始めてからやりたいことができないと判明することや、大量のカスタマイズが必要になってしまっては遅いでしょう。
複数のシステムを比較検討して、機能、料金、サポート体制、コスト、得意分野などを比べることで、より失敗しないシステム導入が可能となります。
間違っても1社だけしか話を聞かないような事態は避けてください。
4.自社が求める機能を突き詰める(最重要)
タレントマネジメントシステムのベンダーやソフトウェアを選ぶ際、最も重要と言えるのは自社が求める機能を突き詰めることです。
何千万円や何億円という費用をかけて、相当な工数も費やした上でタレントマネジメントシステムを導入したとしても、「これは何に使うの?」となってしまっては全く意味がありません。
意味がないどころか取り返しのつかない責任問題レベルと言えます。
実はこのようなことが現場では頻繁に起きているのですが、原因としては、タレントマネジメントシステムを導入すると決めた上層部と、実際に作業をする人事担当者、システム導入の真の目的となるべきビジネス現場が、乖離していることにあります。
上層部が理想のタレントマネジメントシステムを思い描いたとしても、実際にベンダーと構築していくのは現場の人事部員ですよね。
さらに人事がどのように人材をマネジメントしたいと考えていたとしても、ビジネス現場は知る由もありません。
重厚なシステムが出来上がってしまった後、上層部が作業担当者にこれは何に使えるのかなどと聞く始末も少なくないですよね。
タレントマネジメントシステム側の夢のような営業を鵜呑みにするのではなく、自社にとって本当に必要な機能は何か、それはどのようにシステム化できるか、実際の運用までを想定した上で導入することが必須となります。
当たり前のように聞こえますが、現場で最も多い問題がこの乖離状況だと言えるでしょう。
タレントマネジメントが重要な理由
タレントマネジメントという仕組みが理解できたとしても、自社にタレントマネジメントは必要なのか、何が重要なのかまだわかりにくい点もあるかもしれません。
事業に貢献できる、コストを削減できると言われても、具体的にどの機能がどのような効果を生むのかイメージしにくいですよね。
ここでは東証一部上場企業で人事を9年経験した筆者が、タレントマネジメントがなぜ重要なのかわかりやすく解説いたします。
- 社内の人材を可視化できる
- リソースマネジメントとして事業に貢献する
- タレントマネジメントはデータドリブン人事を実現
ぜひ参考にしてみてください。
1.社内の人材を可視化できる
タレントマネジメントが重要な理由として、社内の人材を可視化できる大きなメリットがあります。
社員数が数人ならば、なんとなく誰がどのようなタイプか、何ができるのかは掴めるかもしれません。
しかし社員が数十人から数百、数万人といった規模になれば、当然ながらデータでなければ人材情報がわかりませんよね。
タレントマネジメントは事業に近い人事データを可視化
さらにタレントマネジメントで扱う人事データとは、プロジェクト経験やスキルレベル、人材タイプといったより事業に近い情報となります。
例えば新しいプロジェクトを立ち上げる場合、部門横断で適した人材を見つけてくることができれば、社内リソースの有効活用ができるでしょう。
一方で人材の可視化ができていなければ、せっかく社内に適任者がいるにも関わらず、高いフィーや手数料を支払い、何か月もの立ち上げ時間をかけて外部から調達しなければなりませんよね。
その場合、スキルや挑戦意欲の高い社員はモチベーションが下がるなど、時間やお金をかけたにも関わらず社内全体では非効率な状況が生まれていると言えます。
このように人材の見える化は事業にとっても会社全体にとっても必須であり、それを可能にするのがタレントマネジメントシステムとなります。
2.リソースマネジメントとして事業に貢献する
タレントマネジメントはリソースマネジメントの一環にもなります。
企業活動のリソースとしては資本やモノもありますが、人という重要なリソースをいかに効率的かつ効果的に使えるかをマネジメントするのが、タレントマネジメントと言えるでしょう。
人事データの中にも、事業から近いデータと遠いデータがあります。
何時に来て何時に帰ったか、何日有給休暇を取得しているかなど、勤怠や労務も人事業務であり必須情報とはなりますが、事業からは遠いと言えますよね。
一方でどのようなプロジェクトを何年間経験してきたか、スキルレベルはそれぞれどの程度か、何が得意か、資格は何を持っているか、英語力はあるかなど、業務のアサインに直結し得るデータもあります。
このような事業に関わるリソースの観点から人事データをマネジメントしていくことも、タレントマネジメントに求められる重要な目的となります。
3.タレントマネジメントはデータドリブン人事を実現
タレントマネジメントと並行してデータドリブン人事や戦略人事という言葉も生まれていますよね。
データドリブンとはデータに基づいて計画を立ててアクションを実行することで、タレントマネジメントはこのデータドリブン人事を実現するツールとも言えます。
いわゆる昔ながらの人事では、出世や面白い仕事ができるかどうかは上司に気に入られることにかかっているなど、データとは対極にある仕組みも存在していました。
今でもそのような人事が残っている日本企業は少なくないかもしれません。
しかし勝てる組織においては、人事データベースの構築とデータに基づく人選などの人事アクションが、当然ながら人事部にも求められています。
これまでの人事部はデータと離れた部署だったため、データドリブンは慣れない領域かもしれませんが、タレントマネジメントのように人とデータを融合させて企業活動に貢献することが人事部にも必須となっています。
タレントマネジメントシステムおすすめベンダー&ソフトウェア10選
タレントマネジメントシステムのベンダーは国内外に数多く存在しています。
日本でも外資系企業のタレントマネジメントシステムを導入することが多く、実際に筆者はSuccessFactorsとSAPの導入プロジェクトに、両社が統合する前から深く携わっていました。
一方で最近は日本のベンダーも成長してきており、上場企業も生まれていますよね。
ここでは実際にタレントマネジメントシステムの導入プロジェクト経験のある筆者が、ベンダーの特徴やメリットを分析していきます。
おすすめのベンダー&ソフトウェアを紹介していくので参考にしてみてください。
1. SAP SuccessFactors

SAP SuccessFactorsは人事システムにおけるグローバルリーディングカンパニーです。
筆者はSuccessFactorsを使いタレントマネジメントの導入実績がありますが、複数のモジュールに分かれており必要な機能のみ選べる点や、インターフェースが常に使いやすくバージョンアップしていく特徴があります。
また筆者はSAPを使いグローバル共通の人事システムを構築した経験もあります。
SAP SuccessFactorsはタレントマネジメントシステムだけに特化するのではなく、人事・人材管理 (HCM)を基盤として、エンゲージメント機能などまで人事領域を網羅できるシステムと言えるでしょう。
実際に筆者は2010年代にSuccessFactorsを使いタレントマネジメントシステムを導入しましたし、その後SAPを使いグローバル共通の人事システムを構築してきましたが、現在ではSAP SuccessFactorsとなっていますよね。
さらにSAPは経費処理システムの大手Concurを統合しSAP Concurとするなど、総合人事システムとして発展を続けています。
タレントマネジメントの機能を使いたい企業から、人事システムを一新したいと考えている企業まで、幅広いニーズに答えられるグローバルカンパニーとなります。
SAP SuccessFactorsの運営会社
会社名 | SAP ジャパン株式会社 |
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住所 | 東京都千代田区大手町 1 丁目 2 番 1 号 三井物産ビル |
資本金 | 36 億円 |
従業員数 | 1,569 名(2020年1月時点) ※株式会社コンカーとクアルトリクス合同会社を含む) |
設立 | 1992 年 10 月 |
事業内容 | コンピュータソフトウェアの開発販売 教育ならびにコンサルティング |
2.カオナビ

カオナビは現在日本のタレントマネジメントシステムとして勢いがあります。
社名の通り顔写真と人材データを紐付けることで、直感的に使えるインターフェースが特徴的です。
新興のHRテック企業としてリードする1社であり、マザーズ市場に上場もしています。
組織改善サーベイを提供する企業とAPI連携を開始するなど、HRテックの幅を拡大している点も注目でしょう。
タレントマネジメントシステムを検討する上で、選択肢に上がることが多いシステムと言えますよね。
カオナビの会社概要
会社名 | 株式会社カオナビ |
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住所 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-3-1 東京虎ノ門グローバルスクエア 15F・16F |
設立 | 2008年5月27日(事業開始日2012年4月16日) |
資本金 | 10億6,627万円 (2021年3月末時点) |
証券コード | 4435 (東京証券取引所マザーズ) |
3. HRBrain

HRBrainはクラウドで使用できるタレントマネジメントシステムです。
直感的に使いやすいため多くの企業で好まれる、顔写真でわかる組織図から人事データを管理できます。
インターフェースへのこだわりは必須と言えますよね。
HRBrainは「LinkedIn Top Startups」にて10位に選出されています。
実際に顧客満足度一位としており、現在勢いのある日系のタレントマネジメントシステムとなっています。
株式会社HRBrainの会社概要
会社名 | 株式会社HRBrain |
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住所 | 東京都渋谷区桜丘町9-8 KN渋谷3ビル 4F |
取得承認 | ISO/IEC 27001:2013 |
設立 | 2016年 |
4. HRMOS(ハーモス)

HRMOS(ハーモス)は高年収やハイクラス転職エージェントとして有名なビズリーチが運営している、タレントマネジメントシステムです。
人事データの活用方法が豊富で、過去から現在までのデータを一元管理することができます。
一元データを活用することで転職率や従業員の推移もアウトプットすることができますよね。
HRMOSは大きく採用版とタレントマネジメントシステムがあります。
導入企業数が多く、HRテック関連の受賞歴があるなど、現在人気のシステムと言えるでしょう。
HRMOS(ハーモス)の運営会社
会社名 | 株式会社ビズリーチ |
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住所 | 東京都渋谷区渋谷2-15-1 |
株主情報 | ビジョナル株式会社 100% |
資本金 | 1億3,000万円 |
事業内容 | インターネットを活用したサービス事業 |
5. jinjer

jinjerはバックオフィス業務の効率化を目的とするクラウドサービスです。
タレントマネジメントだけではなく、人事労務や勤怠管理、他にも給与計算、ワークフロー、経費精算・請求書・電子契約まで対応できるシステムとなっています。
タレントマネジメントは人材情報を可視化することが重要ですので、jinjerで一元管理ができる点はメリットでしょう。
無料トライアルがある点も検討しやすくなっていると言えますよね。
jinjer株式会社の会社概要
会社名 | jinjer株式会社 |
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住所 | 東京都新宿区西新宿1-22-2 新宿サンエービル |
設立 | 2021年10月1日 |
6.タレントパレット

タレントパレットは人事にマーケティング思考を取り入れたタレントマネジメントシステムです。
マーケティング思考の導入として、あらゆる人材データを一元化・分析できる機能を持ち、組織の力を最大化させるとしています。
実際に分析機能がとても豊富で、人材配置や最適化などが期待できるでしょう。
有名企業を含めて導入実績は増えていますし、現在人気のタレントマネジメントシステムと言えますよね。
タレントパレットの運営会社
会社名 | 株式会社プラスアルファ・コンサルティング |
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住所 | 東京都港区浜松町1-18-16 住友浜松町ビル 6F |
設立 | 2006 年12月25日 |
認証 | ・プライバシーマーク 第10823218号 ・ISMS(ISO/IEC 27001:2013) 認証番号 ISA IS 0246 ・JIP-ISMS 517-1.0(ISO/IEC 27017:2015) 認証番号 ISA ISC 0006 |
事業内容 | 1. マーケティングソリューション事業 ・顧客体験フィードバックシステム「見える化エンジン」開発 ・運営・FAQソリューション「アルファスコープ」開発・運営 2. CRMソリューション事業 ・CRM/MAシステム「カスタマーリングス」開発・運営 3. HRプラットフォーム事業 ・タレントマネジメントシステム「タレントパレット」開発・運営 |
7. SUZAKU

SUZAKUは人事情報の一元管理に加えて、AIによる分析と組織心理学の要素を組み込んだタレントマネジメントシステムとなります。
タレントマネジメントの先を掲げているだけあり、採用、配置、育成、組織の成長と、人事データをどう活用するか考えて作り込まれていると言えるでしょう。
高度なタレントマネジメントシステムを探している企業に向いていますよね。
約3000社、 10万ユーザー以上の利用実績があるアセスメント・サーベイを搭載しているとしています。
SUZAKUの運営会社
会社名 | 株式会社エスユーエス |
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住所 | 京都市下京区四条烏丸東入ル長刀鉾町8 京都三井ビルディング5階 |
アワード | HRアワード2020優秀賞 |
8.ジョブスイートタレンツ

ジョブスイートタレンツは人事データベースをもとに戦略人事として、経営に貢献できる人事システムとなります。
すでに1,000社以上に採用管理システムを導入してきた採用分野での強みがあり、そこからタレントマネジメントシステムとして戦略人事に発展したと言えます。
これまで多くの企業では労務管理、採用、タレントマネジメントとそれぞれシステムが分かれていることもありましたが、総合的な人事システムとしておすすめできる1社でしょう。
クラウド型でもカスタマイズが可能な点もメリットですよね。
ジョブスイートタレンツの運営会社
会社名 | 株式会社ステラス |
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住所 | 東京都千代田区神田須田町1-5-10 相鉄万世橋ビル6階 |
設立 | 1981年7月17日 |
資本金 | 2,500万円 |
従業員数 | 118名(2021年10月1日) |
9.サイレコ

サイレコはクラウド型の人事管理システムです。
社員の人事情報を過去から現在まで一元管理できるため、採用基準や育成にも活用できる人事データベースとなるでしょう。
定形業務の効率化によって人事部員の工数も減らすことができるタレントマネジメントシステムと言えます。
サイレコの運営会社
会社名 | 株式会社ビジョン |
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住所 | 東京都新宿区西新宿六丁目5番1号 新宿アイランドタワー5階 |
設立 | 2001年12月4日 |
資本金 | 2,371,124,000円(2021年6月30日) |
従業員数 | 国内:641名(社員 523名 アルバイト 118名) 海外:71名(社員 69名 アルバイト 2名) ※2021年6月末時点 |
事業内容 | 1.グローバルWiFi事業 海外事業 国内事業 2.情報通信サービス事業 固定通信事業 移動体通信事業 ブロードバンド事業 OA機器販売事業 インターネットメディア事業 3.その他 |
10. SmartHR

SmartHRはタレントマネジメントにも活用できるクラウド型の人事労務ソフトです。
CMを打っているため知名度がありますが、登録数が4万社以上と申し分ない実績を持ちます。
タレントマネジメント含めて人事労務の効率化も実現したい企業に、とてもおすすめできますよね。
エンゲージメントサーベイも実施できる機能があり、いつでも簡単に従業員アンケートを発行できます。
エンゲージメント調査や不定期のアンケートなど、あらゆるサーベイに対応できるとしていますので、企業のニーズに合わせて使いやすい総合人事システムと言えるでしょう。
SmartHRの運営会社
会社名 | 株式会社SmartHR / SmartHR, Inc. |
---|---|
住所 | 東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー |
設立 | 2013年1月23日 |
資本金 | 83億1452万円 |
許認可 | 認証基準: JIS Q 27001 : 2014( ISO / IEC 27001 : 2013) 認証番号: ISA IS 0168 |