「最近、退職代行を使われるケースが増えてるって本当?」
「もし社員から退職代行を使われたら、どう対応すればいいんだろう」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本人の代わりに退職の意向を伝える退職代行サービス。
「会社を辞めたくても辞められない」といった労働者のニーズを汲み、近年若い世代を中心に需要が高まっています。
もしも退職代行を使われた場合、会社側としてはどのように対応すればよいのでしょうか。
本記事では、退職代行を使われた場合の対処法を4ステップで解説します。
本記事を読むことで、退職代行から連絡がきても慌てず対応することができると同時に、退職代行を使われないための対応策を取ることができますので、ぜひ参考にしてください。
退職代行を使われた理由TOP3
まずは退職代行が使われた理由のTOP3
- 退職を引き留めていた
- パワハラや過酷な労働環境で消耗させていた
- コミュニケーションが上手く図れていなかった
について、それぞれ解説していきます。
退職代行を使われた理由1.退職を引き留めていた
従業員から退職の意思を伝えられたにも関わらず、会社側が引き留めを行ったことで、退職代行が使われるケースです。
「人手不足でいま辞められると困る」「繁忙期だからもう少しがんばってほしい」など、会社都合で引き留めを行うのは、決して珍しいことではありません。
しかし、労働者は民法第627条第1項によって「退職の自由」が保障されており(有期雇用は除く)、会社側がそれを拒むことはできないのです。
引き留めを受けた労働者は「辞めたいのに辞められない」といった八方塞がりの状態になり、打開策として退職代行を使うことになります。
退職代行を使われた理由2.パワハラや過酷な労働環境で消耗させていた
劣悪な職場・労働環境によって、「会社をすぐにでも辞めたい」といった理由から退職代行が使われるケースです。
日頃から上司が部下へ対してパワハラを行う、長時間労働や無理な残業を課すなどによって、従業員を体力的・精神的に消耗させていた可能性が考えられます。
そのような職場環境であれば「会社のストレスからすぐにでも解放されたい」といった気持ちになるのは当然であり、退職代行サービスが使われることも理解に難くありません。
退職代行を使われた理由3.コミュニケーションが上手く図れていなかった
上司とのコミュニケーションにストレスを感じ、退職代行サービスが使われるケースです。
従業員に対して高圧的な態度を取っているなど、良好なコミュニケーションが取れていない場合、「上司が怖くて言いづらい」「なんだか退職を申し出にくい」と感じさせてしまうこともあるでしょう。
その結果、上司へ退職の意思を伝えるのも煩わしいと感じ、お金を払ってでも退職代行へ依頼して気楽に辞める選択をするのです。
退職代行を使われた会社の対処法4ステップ
次に、退職代行が使われた場合にとるべき対処法4ステップ
- 退職代行業者の身元・運営元を確認する
- 民間の退職代行だった場合、やりとりには応じなくてもいい
- 本人確認を行う
- 潔く退職を認めて手続きを進める
について、それぞれ解説していきます。
1.退職代行業者の身元・運営元を確認する
退職代行業者は、電話でコンタクトを取ってくることがほとんどです。
したがって、まず初めに「相手の身元をあきらかにさせる」ことが重要です。
素性の知れない会社から辞めたいと言われたからといって、すぐに手続きに応じるわけにはいきません。
また、弁護士資格を持つ者(弁護士または労働組合が該当)からの連絡であった場合、退職に関する交渉を行ってくる可能性があります。
そのため、退職代行の運営元が「民間企業・労働組合・弁護士」のいずれかであることの確認は必ず行いましょう。
2.民間の退職代行だった場合、やりとりには応じなくてもいい
弁護士資格を持たない民間業者からの連絡だった場合、やりとり自体を拒否することができます。
なぜなら、民間の退職代行は「会社との交渉権」を有しておらず、「依頼者の代わりに退職の意向を伝えること」以上のやりとり(いわゆる法律事務)ができないからです。
したがって、本人からの連絡しか受け付けないとはねのけてしまっても構いません。
しかし、従業員から退職代行を使われている以上、その本人から連絡が入る可能性は望めないでしょう。
そのため、態度を硬化させるよりも、代行業者と話し合う姿勢をとるほうが得策であるといえます。
3.本人確認を行う
やりとりを続ける場合でも、退職代行業者には、退職したい労働者本人からの依頼なのかを必ず確認しましょう。
退職代行は依頼者の本人確認を徹底して行っていますが、何かしらの手違いで退職代行から連絡がきている可能性もゼロではありません。
免許証や社員証などのコピーを提出してもらい、本人確認を行いましょう。
また、直接本人へ電話・メールで事実確認の連絡をとってみるのもよいです。
しかしながら、退職代行を使われた事態に発展してしまった以上、会社からの連絡に本人が応じることは稀であるといえます。
4.潔く退職を認めて手続きを進める
結論として、退職代行を使われた場合の対処法は、粛々と手続きを進めるのが最良です。
退職代行を使われると、会社側ができることはほとんどありません。
無理に退職を認めなかったり、やりとりに応じず強硬な態度を示し続けたりしていても、本人の職場復帰はすでに難しいため、かえって事態がややこしくなるだけです。
むしろ、バックレられないだけマシであり、退職代行業者のことを「退職をスムーズに進めてくれる代理人」としてポジティブに捉えるしかありません。
退職代行を使われた会社がやってはいけない3つの間違い
退職代行を使われた時にやってはいけない対応
- 退職代行からの連絡を無視する
- 退職代行を使われたことにより裁判を起こす
- 給料や未払金を支払わない
の3つの間違いについて紹介していきます。
退職代行からの連絡を無視する
退職代行から連絡が来たら、素直に退職を認めるようにしましょう。
退職をさせたくないからと言って、退職代行からの連絡を無視はしてはいけません。
民間の退職代行なら退職を認めないことも可能ですが、既にモチベーションが下がりきっている従業員を、働かせ続けるメリットは少ないのではないでしょうか。
弁護士や労働組合が運営している退職代行では、退職を認めないという選択肢は基本的にはありませんので、いずれにしても退職を認めて手続きを進めた方が良いでしょう。
退職代行を使われたことにより裁判を起こす
退職代行を使われても、裁判を起こすのはやめましょう。
裁判には時間もコストもかかりますし、労働者には「退職の自由」という労働基準法で決められている権利があるので、裁判で勝てる可能性はほぼありません。
裁判を起こしても損しかしないので、やめておくことをおすすめします。
給料や未払金を支払わない
退職希望者への給料や残業など、未払金を支払わないということはやめましょう。
その場しのぎで支払わずに済んだとしても、本来の予定支払日から3年は、退職後であっても労働者は会社に給料や未払金を請求することが可能です。
仮にバックレや無断で会社を辞めてしまった場合でも、雇用主は労働者に対して働いた分の賃金を支払う義務があります。
支払わずにいると、弁護士や労働基準監督署から指示を受けることがあるので、注意してください。
退職代行を使われた側はショック?2ch/5chから体験談を紹介
それでは、実際に退職代行を使われた会社側の体験談を紹介していきます。
以前、退職代行を使われてしまったことがあります。
退職代行サービスというものを知らなかったこともあり、正直驚きました。
なかなか「会社を辞めたい」と切り出せない環境だったのかと、申し訳なく思っています。
10年以上勤めていた方が、退職代行を使って会社を辞めてしまいました。
うちの会社では人間関係も比較的良好だったので、まずは相談して欲しかったと思っています。
退職代行を初めて使われました。
会社を辞めたいと思うことはしかたなけれど、何故直接言ってくれなかったんだろうとモヤモヤします。
すぐに手続きは済ませましたが、今でもスッキリしない感じがしています。
退職代行を使われないためにはどうすればいいか
退職代行が使われた背景には、労働者本人が会社に対してなにかしらの不満を抱えていたというケースがほとんどです。
今後は同じような退職者を出さないよう、自社の労働環境を見つめ直すよい機会であると捉えることが大切です。
ここでは、退職代行を使われないための対策を紹介します。
職場環境を見直して改善に努める
職場・労働環境が労働者にとって適切であるかを、いま一度確認しましょう。
「休みがなかなか取れない」「残業が多い」「上司のパワハラが横行している」など、企業がブラック体質の場合は、労働環境を根本から見直さなくてはなりません。
従業員にとって心地よいと感じてもらえる職場作りに努めることで、従業員の満足度を向上させるだけでなく、安定した人材確保にも繋がります。
日頃から従業員との信頼関係を築く
前途のとおり、退職代行が使われる理由として「上司に退職を申し出づらい」ことが挙げられます。
日頃から従業員とのコミュニケーションがうまくとれておらず、面倒臭い上司と思われてしまうと「伝えるのが億劫だな」という心情から、退職代行を使われるケースが少なくありません。
また、高圧的な態度をとるような上司である場合は、いくら話したところで建前でしか意見を言うことができませんから、態度を改める必要があるでしょう。
自分の口から退職を告げてもらえるよう、日頃から円滑な信頼関係を築くことが大切です。
退職代行を使われた会社側のよくある質問
退職代行サービスは近年増えてきていますが、まだ使われたことがない会社の方が多いでしょう。
そして、退職代行を使われたことは周りに相談しにくいので、これからどうしたら良いか不安に思っている会社も多いかと思います。
今回は、退職代行を使われた企業側のよくある質問
- 退職代行を使われたら会社にとって不利益になる?
- 退職代行から連絡が来たら必ず退職を認めなければならない?
- 退職代行を通さずに直接本人に連絡してもいい?
の3つについて紹介していきます。
退職代行を使われたら会社にとって不利益になる?
退職代行を使われたからといって、会社に不利益になるということはありません。
退職を認めない場合や、手続きを進めないという行動をとる方が、会社にとって不利益になる可能性が高いでしょう。
退職代行は弁護士や労働組合が絡んでいることが多いので、退職をさせないと言い張っても難しいのが現状です。
退職代行から連絡が来たら必ず退職を認めなければならない?
民間の企業が運営している退職代行であれば、退職を認めなくても構いません。
しかし、弁護士と労働組合の運営している退職代行では、いくら会社側が退職を認めないと言っても最終的には認めざるを得ません。
会社を辞めたいと思っている従業員は、既にモチベーションを失っているでしょうし、退職を認めてしまった方が良いと言えます。
退職代行を通さずに直接本人に連絡してもいい?
退職代行から連絡が来たら、直接本人に連絡するのはやめましょう。
本人に連絡してはいけないという決まりはありませんが、退職代行を通している時点で直接連絡を取れる可能性はほぼありません。
本人にしか分からないことや急ぎの用事がある場合でも、退職代行を通して連絡をとるようにした方が良いでしょう。
まとめ
退職代行を使われた場合の対処法を、4ステップで解説しました。
結論として、退職代行を使われた場合、会社側としてできることはほとんどないため、粛々と手続きを進めるしかありません。
今後は同じような退職者を出さないように、職場環境の改善はもちろん、日頃から従業員と円滑なコミュニケーションの構築に努めることが大切です。
従業員が辞める際は自分の口から退職を告げてもらい、双方にとって気持ちのよい円満退社となるよう、労働者へ配慮した職場作りに励みましょう。